金色のネコは海を泳ぐ
「別に変じゃない。君も、オトコだってことだよ」
「そうだよ?僕、ネコじゃなくてオトコだよ。でも、ルーチェにわかってもらえない。僕、勉強も婿修行も頑張ってるのに、ルーチェは婿にしてくれないんだ」

ユベールはちゃんとわかってくれるらしい。

「じゃあ、今日も1つ良いこと教えてあげる。君の言う“印”はちょっと間違ってる。本物は――」
「――っ、ユベール様!」

サラを抱き締めていたユベールが、サラの耳の下、首筋に唇を落とした。

チュッと、音を立てて吸うようにして……サラがピクリと震える。

「コレ、キスマークっていうの。これが、サラは僕のものっていう印」

ユベールが指差したところは赤く痕がついていた。痛くないのだろうか?ルーチェはいつも、ああいうのをトラッタメントで治しているのに……

「名前じゃないの?」
「違うよ。これがオトコの印、ね?」

ユベールはフッと笑って片目を瞑ってみせた。

「もう!ユベール様、こんなこと教えたりして……知りませんよ」

サラは頬をリンゴのように真っ赤に染めてユベールを睨んでいる。

「いいんだよ。どうせ、そのうち学ぶことでしょ?」
「そうかもしれないですけど――っ」

言い返そうとするサラの唇に、ユベールはキスをしてサラを黙らせた。

「あと、おまけでもう1つ。ルーチェはたぶん、キスをしたことないよ。だから、優しくしてあげないとダメだからね?」

ユベールはギュッとサラを抱き締めて、サラの肩越しにジュストにニッコリと笑った。
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