金色のネコは海を泳ぐ
「ねぇ、兄様」
「ん、何?」

帰り際、玄関まで見送りに来てくれたユベールを見る。ジュストよりちょっとだけ背が高くて、綺麗な顔をしている兄。

「また来てもいい?」
「ダメ」

笑顔で断られ、ジュストは唇を尖らせた。

ユベールがイジワルなのは、ジュストを好きだからではないと思う。それくらいは、ジュストにだってわかるのだ。

「君に割く時間はないの。マノンとディオンが寝てるときしかサラとくっつけないっていうのに、今日は君がいたから充電不足だよ」

ジュストが居ても、十分くっついていたような気がするけれど。

肩を竦めたユベールはチラッと廊下の奥へ視線をやった。マノンとディオンが起きて、サラが2人を見に行ったのだ。

ジュストも来たときに見せてもらったけれど、とても可愛い双子だった。

また会いたい。

「……いいよ。僕、ちゃんと1人で来れるし」
「ちょっと、冗談でしょ。僕、君とそんなに会わなくても生きていけるから。当分来ないでもらいたいね」

ユベールは眉を顰めてジュストを見ている。
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