金色のネコは海を泳ぐ
当分……は、長い間。

それなら、長い間が過ぎたら来てもいいのかもしれない。

ジュストは1人納得して頷いた。

「わかった」
「うん。よろしく」

ユベールはニッコリ笑って手を振った。早くジュストを帰らせたいらしい。

「兄様、僕……ルーチェの婿になれるよね?僕、オトコだよね?」

最後に……それだけ聞きたくて。「なれるよ。オトコだよ」と言ってもらいたくて。

すると、ユベールはフッと笑ってジュストの頭にポンと手を置いて撫でた。

「君はオトコだよ。ルーチェにキスしたいって思うくらいには、ね?」
「うん……ありがとう。じゃあ、僕行くね」
「はいはい。あぁ、最後にもう少しだけ良いこと教えてあげる――」

そう言って、ユベールはジュストの耳元に口を近づけた。

「――…わかった?」
「わかった!」

ジュストはニッと笑ってユベールに手を振った。

「あ!ジュスト!」

玄関を出て走り出すとユベールの声が背中に掛かり、ジュストは振り向いた。
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