金色のネコは海を泳ぐ
ルーチェは妹のアリーチェと共に研修室にいた。クラドール養成学校から帰ってきたアリーチェに無理矢理頼み込み、鍛錬に付き合ってもらっているのだけれど……この通り、うまくいっていない。

「もう、だから嫌だって言ったのよ!あぁ……こんなに赤くなっちゃった」

アリーチェは先ほどまでルーチェが呪文を施していた部分をさすりながら文句を言っている。ルーチェは何も言えず、うなだれた。

ルーチェが13回目の卒業試験をパスして2ヶ月ちょっと。自宅の1階にある診療所での研修を始めたはいいが、神様はそう簡単にルーチェをクラドールにはしてくれないらしい。

研修は医療書類の整理などの雑用から始まり、薬の調合、診察、トラッタメントにアフターケア……やることはたくさんある。

ルーチェは所謂デスクワークというもの――書類整理やカルテ作成――は得意だった。薬の調合も特に問題はない。

だが……

「あのね、呪文治療をするときはチャクラの波長を弱めなきゃ痛いんだってば!学校で習ったでしょ!?」
「わ、わかってるよ……」

今日もまた、同じ注意を養成学校2年目の妹にされる。

そう、ルーチェはトラッタメントがうまくできない。呪文はオロのスパルタ指導で一通り習得したのだけれど、それだけでクラドールになれたら誰も苦労しないということだ。
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