金色のネコは海を泳ぐ
「ルーチェ!おかえりなさい!」
「わっ!?」

ルーチェが玄関を開けるのと同時にジュストがルーチェに飛び掛るようにして抱きついてきた。

ギュッと腕を回されて、苦しいくらいだ。

「ジュスト、苦しいってば」
「ダメ。もっと抱き締めたい」

“抱き締める”――ジュストの言葉の変化に気づいて、ルーチェはドキッとする。“抱っこ”と言っていたときもドキドキしたけれど、それが“抱き締める”になると、恥ずかしさが倍になるような……

帰ってきたルーチェを玄関に迎えに来て抱き締める――まるで恋人同士ではないか。この場合、立場が逆な気がするけれど。

恋人――ボーイフレンド。

ジュストがもし、ルーチェのボーイフレンドだったら……?

ずっと一緒にいたいと甘えてくるのに、ときどき妙に色っぽくてドキドキさせられて。覚えたての言葉や行動で、ルーチェの心臓をコントロールする。

ルーチェのために、勉強も呪文も、料理や掃除まで……

好きな人のために努力を惜しまない。何でもしてくれる。文句のつけようがない、完璧なオトコかもしれない。
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