金色のネコは海を泳ぐ
「ルーチェ、こんなところで目立ってるぞ。それに、えっと……ジュスト、も」

そんな中、2人に声を掛けてきたのはテオだった。

「テオ。久しぶりだね」

ルーチェはハッとしてテオに向き直り、手を振った。テオも困ったように笑って軽く手を上げる。

「アリーチェは来ないのか?」
「今日は授業があったから、もう中にいると思うよ」

テオとルーチェのやりとりを、頬を膨らませて見ていたジュストは徐にルーチェの手を掴んで引っ張った。

「ルーチェ、行こう」
「あっ、ちょっと!だからダメだってば」

どさくさに紛れて門をくぐろうとするジュストを止めようとして腰を落として体重をかけてみるけれど、ジュストは全く動じることなく校舎へ入っていく。

テオは苦笑いしながらその後を追いかけてきた。
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