金色のネコは海を泳ぐ
その日の夜。
「『呪文治療はとても繊細な技術です。集中力を切らすことのないように注意しましょう。チャクラは色を濃くするように練り、そして、練ったチャクラの波は静かにゆっくりと患者さんに流し込んでいきます――』うぅぅぅ」
ルーチェは唸りながら枕に顔を埋めた。ベッドにうつ伏せになって読んでいた教科書を閉じて床に投げ捨てる。
「にゃぁ」
オロがそれを見てルーチェを咎めるような声を出したけれど、ルーチェは無視をした。
“色を濃く”とか、“静かにゆっくり”なんて言うのは簡単だ。そんな曖昧な説明でわかる方がおかしいではないか。大体……
「色なんてみんな同じじゃないのっ――ぶっ!?」
ルーチェはバッとベッドの上に座って枕を壁に投げつけた。そうしたら、すぐ目の前の壁に弾かれた枕が顔に直撃する。
今日は踏んだり蹴ったりだ。
「もう、何よ!」
「にゃう!」
ルーチェが枕に八つ当たりをしていると、オロがぴょんとベッドに飛び乗ってきて枕を庇うようにルーチェと向かい合った。
「にゃっ、にゃっ」
オロは枕の上に転がって、しきりに4本の足を動かしている。
「『呪文治療はとても繊細な技術です。集中力を切らすことのないように注意しましょう。チャクラは色を濃くするように練り、そして、練ったチャクラの波は静かにゆっくりと患者さんに流し込んでいきます――』うぅぅぅ」
ルーチェは唸りながら枕に顔を埋めた。ベッドにうつ伏せになって読んでいた教科書を閉じて床に投げ捨てる。
「にゃぁ」
オロがそれを見てルーチェを咎めるような声を出したけれど、ルーチェは無視をした。
“色を濃く”とか、“静かにゆっくり”なんて言うのは簡単だ。そんな曖昧な説明でわかる方がおかしいではないか。大体……
「色なんてみんな同じじゃないのっ――ぶっ!?」
ルーチェはバッとベッドの上に座って枕を壁に投げつけた。そうしたら、すぐ目の前の壁に弾かれた枕が顔に直撃する。
今日は踏んだり蹴ったりだ。
「もう、何よ!」
「にゃう!」
ルーチェが枕に八つ当たりをしていると、オロがぴょんとベッドに飛び乗ってきて枕を庇うようにルーチェと向かい合った。
「にゃっ、にゃっ」
オロは枕の上に転がって、しきりに4本の足を動かしている。