金色のネコは海を泳ぐ
「ルーチェ!」

それと入れ替わりに、ジュストがルーチェに向かって駆けて来る。

その手には何やら紙束が握られていて、ルーチェの視線に気づいたジュストはその中の1枚を広げて見せた。

「見てよ。皆がルーチェの好きなもの、いっぱい教えてくれたの。ご飯とか、お菓子とか、いっぱい作ってあげるからね?」

その紙には、ジュストの筆跡でルーチェがよくカフェテリアで食べていた物が書かれていた。

こんなにもルーチェのことを考えて、ルーチェを喜ばせようとして、好きだと屈託なく笑ってくれる。

そう思ったら、さっきまで苦しくて仕方なかった気持ちがスッと軽くなって、嬉しくて。

ルーチェはふらりと、何かに引き寄せられるかのように1歩ジュストへ近づいた。

「ルーチェ?」

ジュストは不思議そうな表情で、ルーチェを見つめていた。

近づきたい。

触れたい――
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