金色のネコは海を泳ぐ
朝ごはんのオムレツを焼きながら、ジュストは少しぼんやりしていた。

料理は慣れてきて手になじんでいるので、何回か作ったことのあるものであれば考え事だってできるのだ。

フライパンをトントン、と軽く叩きながら昨日のルーチェの涙を思い出す。

ルーチェはどうして泣いたのだろう?

泣き止んで欲しくて、頭を撫でて抱き締めたら……ルーチェはギュッとジュストに抱きついてくれた。それは、とても珍しいことで。

結局、ジュストはルーチェの背中を撫でてあげることしかできなかったけれど。

泣き止んだルーチェは理由を聞いても「何でもない」の一点張りだった。ジュストには、話せないこと?

それとも、ジュストは頼りない?

ルーチェは……今朝覗いたノートからもわかるように、いっぱいジュストのことを助けてくれていて、ジュストもルーチェのためにいろいろなことをしてあげたいのに。

ジュストはため息をついて、オムレツをお皿に移した。ちょっと固くなってしまったかもしれない。やっぱり考え事をしながら料理をしてはいけないのかも。

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