金色のネコは海を泳ぐ
ジュストが腕を掴む手に力を入れたのが痛かったのか、ルーチェは顔を歪めた。

だが、ジュストはその力を緩めなかった。

離したりするものか。

「ルーチェ、僕、好きなの。ルーチェのことが好き」
「だからね、その“好き”は違うでしょ?」

ルーチェはジュストの腕を掴んで引き離そうとする。ジュストはそれが気に食わなくて、グッとルーチェを引き寄せた。

バランスを崩したルーチェはジュストの胸に手をついたけれど、ふらりとベッドの方へ倒れこむ。

ジュストもそれを追いかけて、ベッドに膝をついた。

「ちょ、っと」

ルーチェは慌てて身を引き、しかし、ジュストがそのまま距離を縮めると体重が後ろへかかったのかボスッとベッドに沈んだ。

「LikeとLoveのことを言ってるなら、僕、知ってる」

そんなこと、とっくに勉強した。経験もしている。

「――っ」

ルーチェの頬に手を当てると、ルーチェはビクッとして肩を竦めた。
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