金色のネコは海を泳ぐ
「ルーチェの笑顔が好き。泣いてる顔も、怒ってる顔も、笑ってる顔よりは好きじゃないけど、好き」

ルーチェが笑うと、ジュストの心臓はキュッとして……

「ルーチェに触りたい」

ルーチェの体温を感じたくなる。印をつけたくなる。

ジュストは今朝つけたばかりのそれに触れた。

「ジュスト、やだ……」

ルーチェが震えているのが指先から伝わってくる。

嫌なのは、ジュストだ。

ルーチェはわかっていない。

「僕の印、1個じゃ足りない?1個じゃ僕の気持ちが伝わらないの?」
「ジュストっ!?」

その苛立ちをぶつけるように、ジュストはルーチェの印に唇を押し付けた。ルーチェがジュストの肩を掴む。

1つ、上書きして。それからルーチェの鎖骨の辺りにもう1つ。

それでも足りなくて、ジュストはルーチェの胸元に唇を滑らせた。

「やっ、ジュスト!わかった、わかったよ!だから――っ」

それが、ジュストを宥めるための“わかった”なのだと……ジュストが理解できることもルーチェはわかっていない!

ジュストはルーチェの抵抗を押さえつけてパジャマのボタンを1つ外した。
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