金色のネコは海を泳ぐ
「……ジュスト」

自然と漏れた音はジュストの名前を紡いで、ルーチェは歩みを止めた。

そして、視線が遠くから歩いてくる背の高いオトコに釘付けになる。

ふわふわの茶髪は風になびいて春の日差しに輝き、いつかのパーティで着ていたスーツをきっちり着こなしている。

もう、ネコなんかではない。

1人のオトコ、ルーチェの……好きな男(ヒト)。

ジュストはゆっくりとルーチェに近づいて、ルーチェの目の前で歩みを止めた。少し乱れた前髪を綺麗な手でかきあげる。

「っ、ジュスト」
「ルーチェ。やっぱりここにいた」

フッと笑ったジュストは今までで1番大人びて見えた。

あぁ、この人は王子様になるのだ――と、そう思った。
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