金色のネコは海を泳ぐ
ルーチェがジュストの背中に手を回すと、ジュストの身体が小刻みに震えた。

「ふふっ……」

と、隠し切れない笑い声まで降って来る。

「な、なんで笑うのよ!」

人が真剣に告白したというのに!

「ふふっ、ごめんね?僕、嬉しくて……」

少しだけ身体を離したジュストは目元を赤く染めてはにかんだ。

「押してダメなら引くんだって、本当だった」
「は……?」

ジュストの発言に、まぬけな声を出してしまったルーチェ。とりあえず、涙は止まってくれたけれど。

「だって、ルーチェは僕のこと好きなくせに『ジュストを婿にする』って言ってくれないから」
「なっ――だ、騙したの!?」

ルーチェの顔に一気に熱が集中する。

「騙してないよ。“イジワル”したの。僕、やっとわかった。“イジワルが好き”の意味」

クスクス笑うジュストは……あぁ、そうだ。小悪魔。
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