金色のネコは海を泳ぐ
『ふふっ……おとぎ話の魔法を再現するのは大変だったの。でも、どうしても、貴方には本物の愛を見つけて欲しかった』
小さい頃読んだ話に出てきた魔法は、現実世界にはない呪文のはずだった。しかし、シュゼットはそれを可能にしてみせた。
その、母親の無条件の愛に……ルーチェの瞳からは涙が零れた。
「どうして……?どうして僕を助けてくれたの?」
『愛しているからよ。貴方が私の息子だということに、変わりはないわ』
たとえ、愛していない男性の血を半分受け継いでいたとしても……
ルーチェが同じ状況に立たされたら、シュゼットと同じことができるだろうか……?
『サラにはユベール様がいる。でも、貴方のことは私が生きていても守りきれなかったでしょう』
第一王子であったユベール王子は、正室であるサラを守る力も十分にあった。だが、シュゼットは数多いるダミアン前国王の側室の1人に過ぎない。
城では子育てに関与することすらできないのだろう。
『ルミエール王国から出してあげるには、ロラン様の計画が都合良かったの。皆、貴方は殺されたと思うでしょう。そして、貴方は自由になれる』
ジュストはルーチェの手をギュッと握ってきて、ルーチェはそれを握り返した。
『呪文が発動する時間を細かく設定するのも大変だったわ。何度も星の呪文を使って……今もそれでこうして貴方たちに話しかけているの。でも、ジュストがチカチカ光で遊ぶから、眩しくて、集中力を持たせるのも一苦労よ』
シュゼットはクスッと笑った。ジュストの笑い方に似ている。
星の呪文――呪術者の精神を光に乗せて未来へ飛ばすことができる光属性だけの呪文だ。光を届けられるのは血縁者のみと決まっているが、自分の血を少しでも受け継ぐ者へならば、どこまでも未来につながる。
ジュストについて調べていたときに知った呪文の1つだが、本当に使える人がいるなんて驚いた。かなり高度な技術を必要とすると書いてあったはずだ。
小さい頃読んだ話に出てきた魔法は、現実世界にはない呪文のはずだった。しかし、シュゼットはそれを可能にしてみせた。
その、母親の無条件の愛に……ルーチェの瞳からは涙が零れた。
「どうして……?どうして僕を助けてくれたの?」
『愛しているからよ。貴方が私の息子だということに、変わりはないわ』
たとえ、愛していない男性の血を半分受け継いでいたとしても……
ルーチェが同じ状況に立たされたら、シュゼットと同じことができるだろうか……?
『サラにはユベール様がいる。でも、貴方のことは私が生きていても守りきれなかったでしょう』
第一王子であったユベール王子は、正室であるサラを守る力も十分にあった。だが、シュゼットは数多いるダミアン前国王の側室の1人に過ぎない。
城では子育てに関与することすらできないのだろう。
『ルミエール王国から出してあげるには、ロラン様の計画が都合良かったの。皆、貴方は殺されたと思うでしょう。そして、貴方は自由になれる』
ジュストはルーチェの手をギュッと握ってきて、ルーチェはそれを握り返した。
『呪文が発動する時間を細かく設定するのも大変だったわ。何度も星の呪文を使って……今もそれでこうして貴方たちに話しかけているの。でも、ジュストがチカチカ光で遊ぶから、眩しくて、集中力を持たせるのも一苦労よ』
シュゼットはクスッと笑った。ジュストの笑い方に似ている。
星の呪文――呪術者の精神を光に乗せて未来へ飛ばすことができる光属性だけの呪文だ。光を届けられるのは血縁者のみと決まっているが、自分の血を少しでも受け継ぐ者へならば、どこまでも未来につながる。
ジュストについて調べていたときに知った呪文の1つだが、本当に使える人がいるなんて驚いた。かなり高度な技術を必要とすると書いてあったはずだ。