金色のネコは海を泳ぐ
「どういうことか、ちゃんと説明して!」

夕食を終えたルーチェは部屋に戻ってジュストに詰め寄った。

「だって、ルーチェ、『いいよ』って言ったよ?」

と、何が問題なのかわからないとでも言いたい表情で言われたら、何も言い返せない。

いや……確かにあの日、海で「次に会ったときは、婿にして」と言われて頷いた。「いいよ」とも言った気がする。

けれど!

「次に会ったときって、“今”でしょ!イ・マ!会う前に婿になってどうするのよ!」

マリッジブルーに浸る間もなかった。いや、別に浸りたいわけではないのだけれど。

「……ダメなの?」

ルーチェが怒ると、ジュストはシュンとして琥珀色の瞳を揺らした。

ずるい。

「だ、ダメとか、そういうんじゃなくてっ」
「そう?良かった」

一転、花が咲いたような表情に変わったジュストに開いた口が塞がらない。

ルミエール王国の王子教育のカリキュラムは一体どうなっているのだ?小悪魔プロデュースの間違いではないのか?
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