金色のネコは海を泳ぐ
「ルーチェ、ごめんね」

ふわりと、ジュストの腕に抱き締められて、ルーチェは大きな背中に手を回した。

最後に会ったときよりも逞しくなった……

髪の毛は少し短く切ったらしいが、ときどき金色に見える色は変わらない。琥珀色の瞳も、ちょっぴり艶っぽさを増したけれど、ルーチェの知っているものだ。

「ルーチェのこと、僕のものにしたかったんだ」

甘く囁いてくれる声も、ルーチェを包む温もりも香りも、全部……

「僕、ルミエール王国の王子でも、ネコでもなくて、ルーチェの王子様になりたい。婿って、王子様にもなれるよね?ユベール兄様はサラ姉様の王子様だから……」

ルーチェの髪を指に絡め、ジュストは毛先に口付けた。

それから少し顔を上げて、唇を寄せる。

ルーチェは目を閉じてそれを受け止めた。

「ふふっ……ただいまのキスだ」

ルーチェの唇を親指でなぞって言うジュストはとても嬉しそうに笑い、ルーチェの左手を取って薬指に指輪を嵌めた。

ジュストとルーチェが出会った海のような青色の石がキラキラと光って見える。
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