金色のネコは海を泳ぐ
「にゃぁん」

オロはルーチェが追いつくと、海へと入っていく。

「え!?ちょ、ちょっと、オロってば!」

ルーチェは慌ててオロを抱き上げようとして靴を脱ぎ、水の中へ入った。だが、さすがに膝の辺りまで浸かったところで足を止める。

オロは器用に泳いでプカプカとルーチェの視線の先に浮かんでいる。

「オロ!どこ行くの!?」

まさか、帰る……とか?

「にゃぁん!にゃっ、にゃっ」

オロがバシバシと前足を掻く度に水しぶきがあがる。また踊っている、というか、何やら手招きをしているように見えなくもないが……

「無理だよ!洋服が濡れちゃうじゃない」

それに、まだ春になるかならないかの季節。昼間で気温はそれなりにあるけれど、海に入るような暑さではない。

「にゃん!」
「痛っ!?わわわっ――」

オロが一際大きく鳴くと、ルーチェの膝下にビリビリッと電流が走った気がした。驚いたこともあって、バランスを崩したルーチェはそのまま豪快に倒れこんでしまった。

バシャッ――
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