金色のネコは海を泳ぐ
ジュストの熱い手のひら、指先、唇、舌……

「ルーチェ」

そう、ルーチェを愛おしそうに呼ぶ掠れた声も。

ジュストのすべてがルーチェの体温を上げていった。

そうしてルーチェの身体を甘く溶かした頃、ジュストはルーチェに優しいキスをした。

「っ、ルーチェ……」
「……っ」

その声が“ルーチェ”を求めて、ルーチェはギュッと瞑っていた目を開けた。

薄っすらと汗の滲んだジュストの額、荒い呼吸の零れる唇が艶っぽく濡れて薄く開いて……

ルーチェはジュストの頬を指先でなぞった。

ピクリとジュストの身体が跳ねる。

「あのね……っ、女の子は、痛いんだって……」
「なっ――」

今、この状況で……そんなことを――

「でも、僕…………っ、僕……」

だが、苦しそうなジュストの表情に、ルーチェはじんわりと胸が熱くなった。そして、思わず頬を緩める。

ジュストらしい、と……そう、素直に思った。
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