金色のネコは海を泳ぐ
「つ、つめた……何、今の?」

濡れて肌に張り付いた髪を避けて身体を起こす。足を確認したけれど、特に傷もない。足を攣った――というのもないだろう。

「にゃっ、にゃっ!」

その声に視線を上げれば、相変わらずルーチェを手招きするオロ。

ルーチェはそのままオロの方へと歩き出した。どうせ濡れてしまったのだから構わないだろう。すると、オロも更に遠くへと泳いでいく。

「オロ!」

これ以上進んだら戻れなくなってしまいそうだと思ったとき、オロが前進をやめた。

ゆらり、ゆらりとオロの身体が波に揺られている。そうしてルーチェのもとまで流れるようにやってきたオロは、ルーチェの目の前で止まった。

「もう……オロ、今度は何がしたいの?」

ルーチェに海を見せたがったり、海に入ったり……

「にゃ、にゃ」

オロは前足をくねくねさせた後、またルーチェから離れるように泳いで距離を取った。

昨日からよく踊っている……ようにしか見えないのだけれど。

オロの伝えたいことをうまく理解できないルーチェのもとへ、オロが再び流れてくる。そして今度はルーチェの背中側から肩にお腹を乗せた。前足で水を蹴って、ルーチェの頬に鼻をくっつけてゴロゴロと喉を鳴らす。
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