金色のネコは海を泳ぐ
「流れろ、ってこと?」

ルーチェにも、オロと同じ事をやれというのだろうか。

「にゃー」

ようやく言いたいことをルーチェに理解させたオロは、満足げに鳴いてルーチェの顔を舐めた。

「わかったわよ」

おそらくオロはルーチェがやるまで帰らないだろう。ルーチェはゆっくりと前へ進み、少し足が浮くほどの深さの場所で力を抜いて流れに身を任せた。

ゆったりと、波に揺られて目を閉じると……冷たい水が身体に染み渡るような気がした。心地よいリズムと波の優しい音。

自分も海になるように、そのメロディに自分の鼓動を合わせるように――…

「ああっ!」

そうだ、ブリジッタのトラッタメントはこんな感覚だった。チャクラの色は穏やかな海のように透き通り、波長は緩やかな波に揺られるように。

ルーチェは早速、チャクラを練り始めた。その色を浅瀬から沖へと変わる青色と重ね合わせるように、波の速さも様々に変えて放出していく。

「オロ!すごい!」
「にゃー」

なんとなく、コツが掴めた気がする。後は、診療所の研修室でも鍛錬ができるだろう。
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