金色のネコは海を泳ぐ
――そして翌日。

「うーん……」

額の冷たい感覚に、ルーチェは薄っすらと目を開けた。

少しだけ頭を持ち上げると、オロがルーチェの胸に乗って、銜えていたタオルを首に置いた。ひんやりとして気持ち良い。

「にゃー」

オロはルーチェの枕元に丸まって、ルーチェの頬を舐めた。

昨日、流されたルーチェは帰りが遅いことを心配した両親に助けられた。かなり沖の方まで流されてしまったルーチェを見つけた彼らはさすが、実の親といったところだろうか。

何はともあれ無事に帰宅したはいいが、冷たい海に長い間揺られたせいで熱が出てしまった。しばらくしたら、アリーチェを学校に送り出したブリジッタが解熱の呪文を施しに来てくれるだろう。

「ねぇ、オロ……」
「にゃう?」

なんだか聞きたいことがあったはずなのだけれど、頭がボーっとしてうまく考えられない。

「ねこ…………じゅもん、オロ……?」

あぁ、何を聞こうと思っていたのだろう。まとまらない思考と出てこない言葉。でも1つだけ、伝えたいことがあって。

「あのね、オロ……ありがとう」

また、助けてくれて。

「にゃー」

それはいつものようにYESではなくて、オロは「どういたしまして」と言ったのではないかと思った。
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