金色のネコは海を泳ぐ
「ねぇ、オロ。貴方、ルミエールのネコなの?」

そう問いかけてみるけれど、オロは夢中でクッキーを食べていて答えてくれない。

「オロってば……」

ルーチェはため息をついて、ボールを手に取った。オロが食べ終わるまでは会話になりそうにない。まぁ、いつも会話にはなっていないのだけれど。

透明なボールをじっと見つめて海を思い浮かべる。

深い、青。

波は、静かにゆらゆらと……

「うぅーん」

なかなか色が濃くならなくて、ルーチェは唸った。

これ以上濃さを重視すると確実に波長が強くなってしまう。今までの鍛錬からそれはわかっているのだが、どうやって波長を弱く保てばいいのかがよくわからないのだ。

「にゃうん」

すると、クッキーを食べ終わったらしいオロが机にピョンと飛び乗ってルーチェを見つめた。

琥珀色の瞳にじっと見つめられて、ルーチェはなんだか不思議な気分になる。
< 42 / 268 >

この作品をシェア

pagetop