金色のネコは海を泳ぐ
オロはピクリとも動かずにルーチェを見つめていて、ルーチェもじっとオロを見つめ返して。じりじりと、張り詰めたような空気が出来上がって手の平に汗が滲んでくる。

ルーチェは思わずお腹に力を入れた。

すると、不思議な感覚がルーチェを支配する。

下腹部で何か――いや、これはチャクラだ――が渦巻くような感じ。

「にゃー!」

オロが満足したように鳴いて、机からベッドへと移動してくる。ルーチェの膝に乗ったオロはルーチェの胸にすりすりと頬を寄せた。

「オロ?あっ!青くなってる!」

そこでようやく自分の手の平のボールが真っ青に染まっていることに気づいた。

「なんで……?」

自分はオロとにらめっこをしていただけのような気がするのだけれど。あまりに張り詰めた空気に、ちょっとお腹に力が入ってしまって――

「もしかして……」

ルーチェは下腹部に手を当ててみた。
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