金色のネコは海を泳ぐ
「また呪文を使ったんでしょ!?」

ルーチェは腰に手を当てて、オロを見下ろした。オロはとぼけ続けているが、どうもちょこちょこ呪文を使っているようだとルーチェは疑っている。

ルーチェ以外の前では“可愛いネコ”を演じていて、今やバラルディ家のアイドルという地位を築いているオロ。ルーチェには厳しいくせに。

「にゃっ、にゃっ」
「あぁっ!ダメだって!」

オロが図書館に入っていく男性に続いて入り口を突破しようと歩き出し、ルーチェは慌ててオロを抱き上げた。

「にゃぁぁぁ!」
「い、イタッ!痛い!ちょっと!」

オロがルーチェの腕をバシバシと叩く。爪は切ってあるし、オロも傷つける気はないようだけれど、結構痛い。

図書館を出入りする人々がチラチラと2人――1人と1匹――を見ている。

「もう、動物は入れないんだよ?仕方ないでしょ」
「にゃあ」

ルーチェはオロを少し高く持ち上げて視線を合わせた。諭すように言うけれど、オロは納得できないという顔をする。

「一体何がしたいっていうの?」

ネコが図書館で本を読むというのか。

「にゃぁ、にゃっ」
「入りたいのはわかったわよ。でも、ダメなの。大人しくココで待っててよ」

そんな言い合いを続けていると――
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