金色のネコは海を泳ぐ
「んぅー」

ルーチェは唸った。もっとセントロを意識して――

「にゃぅ」

すると、オロも唸り始め、それと同時にオロの毛が金色に輝き出した。

「え、ちょ――ぎゃ、イタッ」

ルーチェは驚いて仰け反った拍子に頭を壁に打った。なんだかオロに出会ってから痛い思いをしてばかりなのは、ルーチェの気のせいだろうか?

しかし、オロが金色に光っているのは気のせいではないだろう。

「ちょ、ちょっと……オロ?」
「にゃう?うぅぅぅ」

確かにオロは光の加減で金色に見えることがある。けれど、部屋にいるときはいつも通り明るい茶色で……それにこんなに“光って”いるのは初めて見る。

ルーチェは机の上のオロを呆然と見つめた。何が起こっているのだろう。頭がついていかない。

「にゃぅーぇ――…」
「へ……?」

今……オロは、変な鳴き方をしなかっただろうか。

「オロ?」
「――――……」

一際オロが輝いて、ルーチェは目を開けていられなくなってギュッと瞼を閉じた。光が薄れていくのと同時に目を開けてみると、オロが机の上で倒れている。

「オロ!?」

ぐったりとしたオロ。ルーチェは慌ててオロを抱き上げて2階へ駆け降りた。
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