金色のネコは海を泳ぐ
「うーん、普通に眠っているだけみたいだがなぁ……」

グラートはオロの背を優しく撫でてルーチェを見た。

「特に問題はなさそうだぞ?まぁ、明日の朝になっても起きないようなら獣医に行ってみようか」
「でも……オロが金色に輝いたのは、どうして?」

スカートをギュッと握って言うと、グラートはルーチェのもとへ近づいてきて頭を撫でた。

「オロは金色に見えることがあるだろう?だから“オロ”って名前にしたんだし」
「そうじゃないのよ!あんなに光ってたのに、見間違えるはずない!」

大きな声で言うと、グラートは少し驚いて目を見開いた。

「もう、ルーチェ――」
「わかった、わかった。明日、知り合いの獣医に聞いてみるから。それでいいだろう?」

呆れた声を出すブリジッタとは対照的に、グラートは優しく微笑んでルーチェの言葉を聞いてくれた。

「ほら、ベッドで寝かせてやりなさい。お前も、もう寝るといい」
「……うん」

なんだかうまく丸め込まれた気がしないでもないけれど、ルーチェは頷いてオロを抱き上げてリビングを後にした。
< 59 / 268 >

この作品をシェア

pagetop