金色のネコは海を泳ぐ
「にゃうん」

泡だらけになりながら、オロは気持ち良さそうに鳴く。ルーチェはそんなオロにお湯をバシャッと掛けた。

「もう、オロってば……汚れてたら中に入ってきちゃダメだよ。掃除が大変なんだから」
「にゃぁ?」

ぶるぶるっと身震いしてオロはお湯を弾く。

「わっ!?もう、ちゃんと拭いてあげるから水を飛ばさないで」

ルーチェはオロを抱き上げて脱衣所へ出ると、タオルに手を伸ばしてオロの身体を拭いた。ようやくオロが元の色に戻る。

「ほら、ここに乗って」

ルーチェは床にタオルを引いて、オロを座らせた。引き出しからドライヤーを出して弱めの風で乾かす。オロの毛はそんなに長くないのですぐに全身が乾いた。

「これでよし」
「にゃー」

ルーチェがそう言うと、オロはルーチェの膝に前足を掛けた。ルーチェはそんなオロを抱きかかえて脱衣所を片付ける。オロは綺麗になった身体をルーチェにピッタリと寄せて甘えるように頬を胸に擦り付けた。

「もう、何よ?さっきからくっついて」

確かにオロはルーチェに頬を摺り寄せたり顔を舐めたりすることも多いが、今日はなんだか一段と甘えている気がする。

「にゃー、にゃー」
「掃除するから、オロは部屋で待ってて」

ルーチェはオロを引き剥がして足跡掃除に勤しんだ。
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