金色のネコは海を泳ぐ
――ルーチェ。

急に大きく響いた声に、ルーチェはパッと起き上がった。

「あ、れ……?」

なんだか変な夢を見た。時計を見ると、7時少し前。

「誰だろ……」

夢に見た男の子、後姿だけではあったけれど会ったことはないと思う。

それに、ルーチェを何度も呼ぶ声。あれは、あの男の子の声だったのだろうか。少し高めの少年の声だった。なんとなくどこかで聞いたことあるようなトーンに感じたけれど、どこで聞いたかは思い出せない。

「オロも、またいないし」

昨日抱いて眠ったはずのオロはまた姿がなく、ルーチェはため息をついた。昨日と同じでどこかへ出かけたのだろうか。

また汚れて帰ってこないといいが……

ルーチェはもう1度ため息をついて、ちょうど鳴り出した目覚ましを止めてベッドを降りた。
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