金色のネコは海を泳ぐ
ん?

ルーチェはパッチリと目を開けた。そこにはまだオロの顔があって、琥珀色の瞳にはルーチェの間抜けな顔が映っていた。

「……オロ?」

何か、変ではなかっただろうか。

『ルーチェ、僕の声、聴こえるよね?』

じっとルーチェを見つめながら、少し高めの少年の声が聴こえてくる。さっき、ルーチェを何度も呼んでいた声だ。

「えっと……?」

寝起きのせいなのか、それとも単にこの状況についていけないだけなのか。ルーチェはどう言葉を発していいかわからない。

『ねぇ、よだれの跡がついてるよ?』
「へ……?うえぇぇぇぇ!?」

ルーチェは勢い良く起き上がって、オロを凝視し、その後ハッとして口元を手で押さえた。

『冗談だよ』

いやいやいや、何が冗談なのだ?

いやいやいや、それこそ冗談であろう。

オロが――…

「しゃ、喋ってる!?」
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