金色のネコは海を泳ぐ
とりあえず、ルーチェは30分ほど費やして、なんとかオロが喋るという事実を受け入れた。

オロは退屈そうに、頭を抱えながら部屋をぐるぐると歩くルーチェを見ていたけれど、30分で頭を整理したということは褒めて欲しい。

ルーチェはベッドに座ってオロと向き合った。

「オロ、あのね、えーっと……」

聞きたいことがありすぎて、何から聞けばいいのかサッパリわからない。

『ルーチェ』

しかし、ルーチェが口を開いてすぐ、オロがそれを遮った。

『僕、オロじゃない。ジュスト、っていうの』
「あ、うん……そう、なんだ…………」

やはり、オロはルーチェのつけた名前が気に入らなかったのだ。きちんと名前を持っているのだから当たり前なのかもしれないけれど。本名はジュスト、というらしい。

なんだか聞いたことがある名前だ。

『僕はルミエール王国の第三王子、ジュスト・ブイレント』

ルミエール王国、第三王子、ジュスト……

あぁ、そういえばオロのことを調べていたときに新聞記事で読んだ名前だ。確か、生まれてからずっと眠っていて隠されていた王子でロラン第二王子に殺されたとか――

殺された……?

死んだ?
< 79 / 268 >

この作品をシェア

pagetop