金色のネコは海を泳ぐ
『もう、ルーチェってば……』

呆れたように言いながら、ジュストがベッドに飛び乗る。そしてルーチェの膝に収まろうとして、ルーチェは身を引いた。

「ちょっ!ダメ!」
『なんで?』

ジュストは首を傾げた。

「ジュストが男の子だから!」
『今までもそうだったよ?』

それはそうだけれど、ネコだと思っていたときと人間だとわかった今では事情が違う。

「人間はダメなの」
『今はネコだよ?』

あぁ、もう!一体何なのだ!

「とにかくダメ。これからは抱っこもしない!」
『どうして?』

ルーチェがキッパリと言い切ると、ジュストはくりくりした目を潤ませた。

「う……」

可愛い……けれど、ダメなのだ。そんな不謹慎なことは認めません!

『僕、柔らかくて気持ちいいから抱っこ好きなのに』
「バッ――」

何が、どこが、“柔らかくて気持ちいい”のだ!

ルーチェは叫びたいのをグッと堪えてジュストを見つめた。このままでは話が進まない。

「と、にかく……いいから、そこに座りなさい!ほら、話の続きをするよ!」
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