金色のネコは海を泳ぐ
シュンとしてその場に大人しく座ったジュストは潤んだ瞳でルーチェを見ている。

『ルーチェ、僕のこと嫌いなの?痛いこと、させたから?』
「そうじゃなくて…………もう、わかったわよ」

ルーチェはため息をついてジュストを抱いて膝の上に乗せた。すると、ジュストは嬉しそうにルーチェの胸に頬を摺り寄せた。

「ちょ、ちょっと待って!それはダメ!膝に座るだけにして!」
『どうして?』

ジュストはまた首を傾げる。

どうも先ほどから「どうして?」「なんで?」という質問が多い。意識はあっても人との関わりを知らないジュストは精神的にまだ幼い部分が多いようだ。

とりあえず、ルーチェはジュストの前足をそっと膝の上に戻した。

「はぁ……えっと、そういうのはまた少しずつ教えるから。とりあえず、人間に戻る方法を考えよう?」

このままでは話が進まない。

ジュストも少し寂しそうな顔をしたけれど、大人しく膝の上に収まることにしたようだった。ルーチェはそれを見てから、コホンと咳払いをして口を開いた。
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