イチゴの空
グラウンドでは、もうどこの部も練習が終わっていて、部室へ行って更衣をしようとしているところだった。
私は急いで高橋を捜した。
高橋は、グラウンドの端の方にいて、部室に向かって歩いていた。
私はそこまでダッシュした。
10メートルくらい走ると、高橋は私に気づいて、驚いた顔で
「垣田ー?」
と私を呼んだ。
私は頑張って高橋のところまで走っていくと、息を切らしながら
「もう、練習、終わった…の…?」
「うん、今日はもう終わり。お前さ、来るならもうちょっと早く来いよ。」
「なんで…?」
「ギャラリーいた方が、やる気出るから。またいつか、見に来いよ。」
見に来いって……。
ほんとに見に行くよ?
「また、今度ね。」
「おう、待ってるし。てかお前、今帰り?だったら一緒に帰らねぇ?」
「…うん、いいよ。」
高橋は汗だらけの額を手の甲でぐいっと拭って、ニッと笑った。
「じゃあ、昇降口のとこで、待ってて。すぐ行くから。」