晴れのち雨
再び雲に捕まった月。
だけど暗闇に慣れてしまった瞳は
全てを見て見ぬフリなんて出来なかった。
仏壇の横のタンスの上には、幸せそうな家族の写真が沢山あった。
その写真達に
私は笑われている気さえしてくる。
先生の元へ戻れない。
どんな顔をして何の話をしたら良いの?
濡れたスエットの袖は
もう私の涙を吸い取ってくれない。
先生、ごめんなさい。
全て私のせいだから。
先生は悪くないよ。
どうか罪だと感じないで。
これは私の罪だから。
脳が酸素を欲している。
私はその要求に答えられない。
泣いても泣いても涙は枯れないから。
泣きながら呼吸するなんて難しいよ。
少し、意識が遠のく。
かろうじて立っている私の視線の先には
仏壇にある今はよく見えない写真。
どうやって息をするんだっけ?
もう...どうでもいいや。
ねぇ、先生?
先生の隣が空いていることに、少しも喜ばなかった。
と言い切れなかった私は
...罪ですか?