晴れのち雨


30分が過ぎて、雪が舞い始めた。

まだ先生は来ない。



今日の雪はあの日と違い、優しく舞っていて誰の邪魔もしない。

だから、6時を過ぎてしまったら私はどうしよう...と不安でいっぱいだった。



20分を過ぎた頃、携帯電話を見る。
あと10分か...
たかが50分でも私には長く感じた。




ふとビルの横の看板ができていることに気づく。

看板の前に行き、看板を呆然と見ていた。


来年にこのビルは取り壊されるらしい。



私はもうここに来ても思い出に浸ることが出来ないんだ。


5年という年月は私にとっては長いようで短かった。


だけどしっかり月日は流れていた。



このビルがなくなるように、先生が私との曖昧な約束を忘れててもおかしくない。

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