晴れのち雨
「先生...トモ、来てくれてありがとう。」
「うん。始めは来んとこうと思ってんけどずっと待ってる葵を見てたら、アカンかったわ〜」
「ずっと?」
「うん。5時過ぎくらいに塾の前に来てんけど、葵おらんかったからやっぱり来おへんか〜って路地裏で煙草を吸ってたら、葵を見つけてん」
「今にも泣きそうな葵を見て、俺が泣かしてるんやな〜って思うと俺じゃない奴が側におった方が良いって思った。」
「うん。」
「だけど、諦めて歩き出した葵を見て無性に引き留めたくて、龍馬から訊いた電話番号に電話してた。」
「うん。」
「ごめんな?」
「え?どうして謝るの?」
相槌を打っていたが、そこは見逃さなかった。
「俺じゃアカンのに、葵と一緒にいたいって思ってもうたから...」
下を向いてしまった先生に背伸びをして、頬に優しくキスをした。