晴れのち雨
face
「ふふっ。またこの席に座れるなんて夢みたい。」
助手席に座れた嬉しさの余り、言葉にしてしまった。
「いつでも座らせてあげるよ」
前を見ながらそう言った先生。
「何処に向かってるの?」
「んー。ご飯食べよかな〜って」
「龍馬さんのお店?」
「んな訳ないやん。龍馬に会って、葵を盗られたらシャレにならんし」
さっきから私に甘い言葉をくれる。
本気で夢なんじゃないかと、頬をつねってみたけど痛かった。
「おーい。葵さん?無視すんのだけは止めへん?せめて引いて下さい。」
「あ。ごめん。トモが優しすぎて、夢じゃないんかなって...」
「そやなー・・・」
と何故か考え込む先生。
「まぁベタやけど...」
1人で何かブツブツ言ってると思えば、
信号待ちの間にキスをされた。
いきなりの出来事に驚き、口を両手で抑える。
チラッと横目で先生を見たけれど、平然と運転をしていた。