晴れのち雨
襖を開けると5年前と変わらず
真ん中に仏壇、横には写真か飾られてあった。
写真の中に笑顔の2人。
波美さんと颯くん。
仏壇の前に座って
両手を合わせて目をつぶる。
先生との思い出が蘇る。
あの日の私が犯してしまった間違い。
結果的には先生の隣にいるんだからって許されない。
弱っている先生につけ込み、
先生の隣が空いていることに嬉しいと思ってしまった私。
許して欲しいとか思わない。
波美さんの代わりになるとか言わない。
ちゃんと過去と向き合わって、
先生と乗り越えていきたい。
伝えたい想いは溢れてくるのに、
言葉にするには難しくて見失ってしまう。
「私は保坂智裕さんを愛しています」
ただそれだけ。
一番大切な言葉を飾らずに伝えた。
ふと、隣を見ると先生も座って目を閉じていた。
先生が波美さんと颯くんに何を伝えたかは分からなかったけれど、その後に2人の写真を見ていた先生がとても幸せそうだったから安心した。