晴れのち雨
ザーー・・・
雨が降り出した。
突然の雨に
着けていたピアスの花が揺れた。
空は晴れている。
狐の嫁入りだ。
雨に霞む中、塾へと続く路地裏に懐かしい後ろ姿が見えた。
雨に濡れるのも構わず、路地裏に向かって走り出した。
はぁ...はぁ...
久しぶりに走ったので息がきれる。
「先生??」
そこに先生の姿は無かった。
ほんのりと煙草の香りがした。
足元を見ると、煙草の灰が落ちていた。
「ママー!!」
「葵ー!!」
振り返ると私の大切な家族達が
車から私を呼んでいる。
どんなに大切な家族でも失ってしまうことがあるのを、私は教えてもらった。
だから私は家族と過ごす一日一日を大切にしている。
ねぇ、先生?
私は幸せです。
昔も今も....
ずっと幸せです。
La Fin.