晴れのち雨
塾を出て、自転車を出しながら
受付での出来事を思い出していた。
「葵ちゃん!!
美人受付嬢だなんて嬉しいわぁ」
いつもより声を高くして
帰ろうと受付の前を通った私に
悠ちゃんが話しかけてきた。
美人とは言ってないな...
と心の中で訂正する
そしてその横には
更に顔色が悪くなった先生。
「アオちゃんが受付嬢とか言わへんかったら良かったのに....」
とブツブツ文句を言っている。
「黒髪美人に文句を言ったら
私が許さないわよ♡♡」
と優しく言う悠ちゃんに
「黒髪美人ねぇ〜」
と先生がしみじみに言う。
「確かにイマドキの高校生にしたら
レアな黒髪ではあるけど
黒髪美人にしてはまだ幼いんちゃう?」
さっきは「純日本美人」と言ったくせに
指摘してくる。
「黒髪はお嫌いですか?」
と思い切って聞いてみる。
一瞬目を見開いたかと思うと
「いや、クォーターの俺には日本人!
って感じがして好きやけど」
と答えたかと思うと
「ま。子どもには興味無いねぇ」
と私を見て笑う。
絶対嫌味だ。
悠ちゃんに怒られた腹いせだ。
「オッサンの好みなんか興味ないです」
と、これ以上にない
我ながら素晴らしい笑顔で言って
受付を後にした。