晴れのち雨
farewell
あれから先生と一緒に帰ったものの
夢だと言われると素直に頷けるくらい
曖昧な記憶しか残っていない。
私の三歩先を歩いていた先生は
時折、私に話しかけていたが
「はい。」「うん。」
としか言えなかった。
それはシュウに対する後ろめたさのせいなのか、先生を好きになった背徳感のせいなのかは今の私には分からなかった。
自分の部屋から外を見る
雨が降っていた。
「晴れのち曇りって言ってたのに...」
自分しかいない部屋でそっと呟く。
貴方と出会った日も雨だった。
雨が嫌いになった。
そうでもしないと自分が壊れてしまいそうだったから。
私が好きなのはシュウ。
先生じゃない。
あのとき好きだと思ったのは、耳に触れられドキドキしたのを勘違いしたんだ。
"シュウに会わなくちゃ"
シュウに会えばきっと何かが変わるかもしれない。
本当は結果を分かっていたのに
そう信じていたかった。
"会いたい"ではなく
何かに対する義務感のような気持ちだったことに気付きたくなかった。
シュウに対する後ろめたさを感じれば感じるほど、私は貴方が好きなんだと苦しくなるから。