晴れのち雨
「何か悩んでるだろ?」
訊かれた私は「え??」と彼を見た。
「さっき悩んでる顔してた。」
してたっけ...?そう考えた私に
「結衣ちゃん見てた時。」
彼は付け加えた。
あぁ、あのときか。と思い出した。
「受験ヤダなぁ。
って色々と考えてたの。」
「行きたい大学あるんだろ?」
そう言った彼に少し驚いた。
「覚えてるの?」
付き合う前に一度だけ
彼に夢を語ったことがあった。
「当たり前だろ。葵先生。」
その言葉が何だか嬉しくて
笑って見せた。
「あるよ。行きたい大学。
でもこの間の模試の結果じゃ無理かな。他の大学の教育学部に
変えなきゃいけないなぁ...」
「葵なら大丈夫だよ。
頑張ってるの知ってるし。
ダメだったら俺のお嫁さんになってよ。」
「ふふっ。プロポーズされちゃったー。ありがと、頑張るね。」
励まされた私は彼を見つめた。
彼が優しく私の髪に触れた。
ただそれだけなのに
何も考えられなくなった。
目を閉じて私に近づく彼が
スローモーションに見える。
気がつくと私も目を瞑っていて
唇が重なった。