晴れのち雨

シュウと別れてから初めての塾。
今日は英語の授業だ。
保坂先生に会える...。


授業が始まると相変わらず少し遅れて先生は教室に入って来た。


演習問題に取り掛かっていると
分からない問題が出てきた。

手を上げて質問する。

「あぁ、ここはな〜」
と私のノートに書き込みながら説明していく。
今更だが、凄く教え方が上手い。


「あっ。そっか...」

私が理解するとノートの隅に

"LIVEの事、秘密やで"

とよく分からないイラストと一緒に書いて別の生徒の所へ行った。


授業が終わり、先生が教室を出て行く。
急いで帰る準備をして、七瀬ちゃんに先に帰ることを告げると塾を出た。


それとなく先生を探してみたけど
塾には居なかったので
"煙草を吸いに行っているのだろう"
と思った私は路地裏に行ってみた。


...いた!!

先生を見つけた私は「先生...」
と少し小声で呼んでみた。


私の声に気づいた先生がやってくる。
大した用事もなかった私は
何を話そうかとドキドキしながら
先生が歩いて来るのを待つ。


「どうしたん?」

いつもと同じ優しい笑顔で私に言う。

「えっと....あ、あの!!
何のイラストだったんですか?!」

先生が「イラスト??」と首を傾げる。

「あっ...さっきノートに書いてくれた...」
口籠るっていく私。

「あぁ!アレな!分からんかったん?! 猫に決まってるやん!!」

...すみません。分かりませんでした。
鬼のイラストだと思ってました。

「猫...。個性的なイラストですね。」

「アオちゃん。
今、俺のこと軽く馬鹿にしたやろ。」

「ノーコメントでお願いします。」

「こらっ。」
私の頭をコツンと軽く叩くと

「気ぃつけて帰りや〜」

と塾へ戻って行ってしまった。


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