晴れのち雨
「今日は一日中雨になるでしょう」
天気予報のお姉さんが話す。
「ヤダなぁ〜この季節。」
文句を言いながら私は学校に行く準備をする。
学校に着くと七瀬ちゃんが
「あ! やっと来た!!」
と私の元に走ってくる。
「七瀬ちゃん、どうしたの?」
「あのね!保坂先生やっぱり結婚してたんだって!」
....え?
「えっと...先生本人が言ってたの?」
「ううん。昨日塾に行った友達が先生が薬指に指輪してたって言ってたの。」
「んじゃ、わかんないじゃん。」
嘘だとしても聞きたくなかった。
信じたくなかった。
先生が結婚してるかもしれない、と一度も思ってみなかった自分に驚く。
「でも、先生もいい年だし結婚してても可笑しくないよ〜」
私の気持ちを知らない七瀬ちゃんは先生のスクープにワクワクしていた。
これ以上言わないで。
現実になっちゃう...。
「先生いい人だし結婚してるかもね..」
精一杯七瀬ちゃんに合わせて笑ってみる。
こんなこと言いたくなかった。
やばい...泣きそう...
"今日、塾に行きたくないな。"
ぼんやりと窓の外を見ながら思った。