晴れのち雨
再び目を開けると
シュウしか見えない距離に驚いて
息が出来なくなった。
ふっ、と彼は「真っ赤だね。」と
子どもみたいに笑うけど
私より余裕があって悔しい。
右手の甲で顔を隠してみたけど
顔から伝わる体温が
さっきの事実を教えてくるので
余計に恥ずかしくなった。
「仕方無いなぁ。
今日はここまでにしてやるよ。」
わざと大きな溜息をして私を抱きしめた。
「明日も来るよな?」
思ったより耳元で言われたので
動揺して頷き...そうになった。
「って、行けない!」
予想外の答えに彼が私を見る。
「あ..あの...明日、塾なの」
「塾??」
「うん。模試が悪かったから親に塾の体験申し込まれちゃって...」
「....分かった。」
少し不機嫌な声だったけれど
抱きしめられた手に力が入ったのが
分かって安心した。