晴れのち雨


授業が終わって呆然とする私。

ハッとなった私は先生がいるであろう路地裏に向かった。

冬がもうそこまで来ている夜は
暗くなるのが早く、上着を羽織って丁度いいくらいの寒さだった。


走って行ったので
息を切らしている私に


「どうしたん?アオちゃん?!」


と驚きながら煙草の火を消した。


「あっ...あの...はぁーっ....はぁー....
先生、本当に...本社に行ってしまうんですか?」


「そんな走って来んでもええのに」


ははっと笑う先生。



深呼吸して落ち着くと


「私にとっては大事な事なんです!」


さっきよりも驚いている先生。


「私...好きだから...先生の授業...」


一生懸命言葉を続けた。



ふっ、と優しく笑うと


「嬉しいこと言ってくれるなぁ〜
でも、本社に呼ばれてもうたから残念やけど....」


その先をはっきりと言わなかったけれど、私を気遣っているのが分かった。




「先生は...もし...私が大学に合格したら私にもう一度会ってくれますか?」


「当たり前やん!
てか、大学に合格せなアオちゃんは先生に会ってくれへんの?」


「いや...そうじゃないですけど...」


予想外の嬉しい言葉に紅くなる。






< 54 / 208 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop