晴れのち雨
「死ぬ訳ちゃうねんから、会おうと思たらいつでも会えるよ」
「なっ?」っと私の頭の上に手を置く。
恥ずかしくなった私は先生に
「本社って何処にあるんですか?」
と俯きながら訊いた。
「ん?県内やから今年中は気軽に会えると思うで。」
「県内」という事実に安心したが
「今年中」という言葉に引っかかった。
「今年中??」
「あ..うん。来年から海外になりそうやねん...」
「そうなんだ...」
明らかに落ち込む私。
「あっ。でも!!
アオちゃんが大学受かったら、いつか絶対お祝いしに会いに行くから!!」
子供をあやすように私に接する先生。
「いつまで海外にいるんですか?」
震えないように言った。
「うーん。はっきり分からんなぁ...
海外で教育関係の会社を創るねんけど、
最低5年としか言われてへんわ...
本社ではその研修するからそん時に分かるかもな〜。」
"5年"と聞いて私はもう先生に会えなくなると思った。
たかが塾の講師と生徒。
5年も経ったら私のことなんて忘れてしまうだろうー
5年も経って告白されても困る一方だろうー
今の私には5年経って、先生に告白する勇気もなければ自信もなかった。
...神様の忠告かもしれないと思った。