晴れのち雨
「そうなんだ。先生、受かったら絶対お祝いしに来てね!」
今にも泣き出しそうな涙を堪えて
明るく振る舞う。
「約束するわ」
二人で並んで塾に向かって歩きだす。
こうやって二人で並んで歩くのも
あと何回あるんだろう...
叶わない恋だと知っていたけれど、
並んで歩くことさえ叶わないとは思わなかった。
どうか...どうか...
出来るだけ側にいたい。
もしかしたら欲張りな願いだったのかもしれないと心の中で呟く。
「じゃあね。先生。」
先生と別れたあとも
自転車で走りながら先生の事を考えた。
少し冷たい夜風の中を走るのは気持ちが良く、頭も冴えているように感じた。
"落ち込んだって仕方ないよ!"
いつの間にか打たれ強くなった私には
さっきまで泣きそうだったのに、
今では涙の欠片ですら見つからない。
何でも前向きに考えて、前に進まなくちゃいけない。
先生だろうと、
結婚してろうと、
もう会えなくなろうと、
好きな気持ちに関係ない。
私が好きになったのは先生自身だから。