晴れのち雨
「流石に高校生はなぁ...」
私の強引さに押されている先生が独り言のように呟いた。
「高校生でも18歳なんで大丈夫です。」
先生が色々と麻痺しているのを利用して
責任を取る前提で話を進めた。
「でも、講師と生徒やで?
ドラマや漫画じゃあるまいし...」
確かに、ドラマや漫画のようにハッピーエンドも待っていない。
綺麗な終わり方でさえ知らない現実だ。
きっと私を待っているのは虚無感
そして先生を待っているのは後悔。
「私は先生が好きになったんじゃありません。保坂智裕さんが好きになったんです。」
ありきたりな台詞だったけれど
それしか言えなかった。
「うん。」
また下を向いてしまった先生。
「私は...保坂智裕さん自身を想っているのに、貴方は私を生徒としてしか見てくれないんですか?
少しでも...ほんの少しでも...
私自身を見てくれたらって...
期待しちゃいけませんか??」
もう一度、貴方に私を見て欲しくて、貴方の心に触れたくて、最後の質問をした。
...やっぱり駄目だったかな。
下を向いたまま何も言わない先生。
私の中ではもう貴方に捧げる言葉は見つからなかった。
さようなら...と雨の中に消えようと走り出そうとした私に
「いいよ。」
まだ揺れている瞳で微笑む先生がいた。