晴れのち雨
駅に着いてホームに上がると
喫煙所で煙草を吸うサラリーマンがいた。
こないだ見たライターを思い出す。
薄紫色の花に先生の誕生日が刻まれたライターを。
あのお店に行っても、待ち合わせに十分間に合う。
でも、
もしライターは売り切れてたら?
もし先生が困ってしまったら?
そう思うよりも先に、帰る電車とは違うお店へ向かう方面の電車に乗っていた。
お店の最寄り駅に着いて、多くの恋人達で賑わう街の中を早足で歩く。
私の頭の中はあのライターでいっぱいだった。
少し息を切らしながら
音を奏でるあの扉を開けたー