晴れのち雨

駅に着いてホームに上がると
喫煙所で煙草を吸うサラリーマンがいた。


こないだ見たライターを思い出す。

薄紫色の花に先生の誕生日が刻まれたライターを。

あのお店に行っても、待ち合わせに十分間に合う。


でも、
もしライターは売り切れてたら?
もし先生が困ってしまったら?


そう思うよりも先に、帰る電車とは違うお店へ向かう方面の電車に乗っていた。



お店の最寄り駅に着いて、多くの恋人達で賑わう街の中を早足で歩く。


私の頭の中はあのライターでいっぱいだった。



少し息を切らしながら
音を奏でるあの扉を開けたー






< 80 / 208 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop